新城十和子は時ならぬ携帯の着信音で目覚めた。

(何、まだ朝の6時じゃない・・)

半ば眠りの淵にいる意識を無理やり画面に集中させる。

十和子の眉が顰められた。三件の着信があり、その全ての発信者は、彼女の勤務する大学の学長からのものだった。

十和子は女性らしい華やかな顔立ちであり、人からお世辞でなく美人と誉められることもよくあった。35歳と女盛りの魅力があり、更に20代に見られるような若さも残っていた。

先月、たまたま学長室に資料を届けた際、学長が興味ありげにこちらを見ていたのも、単に知らない顔の職員だからというだけではあるまい。だが・・

(古河さんに相談してみようか)

十和子は出勤して、同僚の古河真衣の姿を探した。

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